表現等
自分の目的や利益のために、他の人やものを利用する・方便にすることを「だしにする」と表現することがあり、食品を用いた慣用句の一つである。
東日本では、「だし」と言えば、「昆布や鰹節や煮干しなどの下味」を指す。高齢者になるとラーメンの「豚骨や魚介や鳥の下味」は「だし」とは表現せず「でじる」や「しる」になる。そのため、西日本出身者が「だしがカラい(つゆがしょっぱい)」などと表現すると「つゆが(唐辛子のように)辛い」と思われてしまうため、西日本出身者は注意が必要である。
西日本では、「だし」と言えば、汁物やスープなどの「つゆ」を指す。これは特に関西地方で使われ、うどんの汁をだしを効かせて色を薄くする事がほとんどであるのが理由であり、関西人が「東京はうどんが辛い(濃い、しょっぱい)、大阪はうどんが薄味」と表現する事が多いのはその事が由来している。(しかし実際は大阪で使用される薄口醤油は濃口醤油よりも塩分が微妙に高いため、正確には大阪のうどんの方がしょっぱい事になる。)
呈味成分
食品に含まれる成分のうち,味を感じさせる原因となる物質を呈味成分といいます。呈味成分には,甘味,塩味,酸味,苦味,うま味という5つの基本成分がありますが,それ以外にもおいしさを感じる要素がいくつか存在します。そのひとつに,「コク」と「まろやかさ」という微妙な味わいの表現があります。この「コク」と「まろやかさ」の正体をつきとめようと研究を進めるうちに,ペプチドという成分に行きつきました。ペプチドがおいしさにどのように関わってくるのか,また調理条件によってどのように変化するのかを研究しています。
出汁
だし・出しは、コンブや鰹節等の食品を煮て出した汁。出し汁、煮だしともいう
概要
料理に甘・酸・苦・鹹の味覚のほか、肉や野菜、キノコや海藻から抽出したうま味を加えるために用いられる。うま味成分である呈味性のアミノ酸や核酸、栄養を含み、また香りも与える。
食文化によって各種存在するが、だしの材料としてグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸などを含む食材が利用されている。またこれらを粉末等にした製品もある。洋食や中華料理の汁物やスープに使われる湯やブイヨンなども洋風だしや中華だしなどと呼ばれることがあり、これらに対して特に日本料理のだしを呼ぶときは和風だしと呼ばれる。
日本料理においてだしは味の基礎となっている。代表的なものは、鰹節とコンブである。他にシイタケや野菜、魚の粗や煮干しなど様々なだしがある。
日本料理
1643年に発行された『料理物語』に「だしはかつお」、1777年『倭訓栞』(谷川士清)には「垂汁または煮出」と「タレ」と「ダシ」が書かれている。現在は出汁と書いてだしと読む表記やだし汁という表記がみられる。
グルタミン酸のコンブと、イノシン酸の削り節などの魚介類やグアニル酸の椎茸など組み合わせを使用し、煮たり乾物を水に浸して成分を抽出する方法が用いられる。鶏肉やスッポン、ウミガメが使われることもある。精進料理においては、コンブ、椎茸の他に、大豆、モヤシ、六条豆腐(塩蔵した乾燥豆腐)なども用いられる。
だしは麺類や、おでんなどの鍋料理や煮物など様々に用いられる。また、和え物の味付けに利用したり、酢などを割って二杯酢など別の調味料としたり、一夜漬けなどの調味に使用する事がある。西日本において「だし」と表記する場合は、うどん用のつゆそのものを指すことがある。また讃岐うどんで知られる香川県ではつゆの作成のためにだしを醤油に抽出させただし醤油が置かれる。
だしを取ったあとのだしがらも、醤油等で味を付けふりかけなどに利用される。
日本国外においても、日本風のだしを素材の持ち味を引き出す隠し味として西洋料理に応用する試みが行われている
日本料理では吸物に用いる一番だしや、下味を付けたり汁物に用いる二番だしなど用途によってだしを使い分ける。
だしには以下のようなものがある。
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あわせだし - 複数の食品からとっただし。特に昆布と鰹節のあわせだしが使われる。
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一番だし - 主に吸物に用いる。鍋に水2リットルと昆布20グラムを入れて煮て、沸騰直前に昆布を取り出す。鰹節30グラムを入れたら火を止める。鰹節が沈んだら漉す。
二番だし - 汁物等様々に用いる。鍋に水2リットルと、一番だしで用いた昆布と鰹節を入れて煮、沸騰したら火を止めて漉す。おいがつおを加える場合もある。 -
精進だし - 肉を禁じた、精進料理に使われるだし。コンブ・干し椎茸・かんぴょう・大豆・小豆などを水につけたり煮たりして取る。
また地域や用途によって以下のようなものがある