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昆布の種類と特長

2年間で大人になった昆布は、採取、乾燥、裁断、選葉、梱包、検査を経て出荷されます。

アンカー 1

昆布(こんぶ)の一生

 

昆布(こんぶ)は2年かかって一人前の「成昆布」となります。

・遊走子(ゆうそうし)

昆布の表面にある「子のう斑」と呼ばれる袋の中で「遊走子」 と呼ばれる

昆布の子供は育まれます。

遊走子は秋から翌年の1月にかけて袋を突き破り 海中に飛び出していきます。

大きさはわずか8ミクロンです。遊走子は雄雌に分かれて、 「雄性配偶体」と

「雌性配偶体」となります。「雌性配偶体」は岩に付着し卵を 持ちます。「雄性配偶体」精子を作ります。

 

・芽胞体から造胞体

岩に付いている「雌性配偶体」が作り出す卵と海中を泳いでいる「雄性配偶体」の

作り出す 精子が受精し「芽胞体」となります。春になると芽胞体が大きくなり

「造胞体」と 呼ばれる小さい昆布となります。

 

・一年目葉体(水昆布)

造胞体は晩春から夏にかけて急激に大きくなり、長さだけは大人の昆布 並に

成長しますが、 身が薄く味も劣るので、水昆布と呼ばれています。

 

・二年目葉体(成昆布)

一年目葉体は秋口まで成長を続けますが、やがて葉が枯れ始め、根元を残して

流されてしまいます。 岩の上に残った根元から、再び成長を始め、春から夏までに

急激に大きくなり成昆布になります。
 

採取から出荷まで

採取

・採取

昆布採取は例年7月中旬に解禁されます。晴天の日に朝5時より

出漁して(天気が悪いときは出漁しません) 5時間程度かけて昆布を採取します。船上より「カギ」、「マッカ」と呼ばれる5メートルから9メートル 程ある棒に昆布を海中から取り出すための器具がついている道具をつかいます。

乾燥

・乾燥

浜に揚げられた昆布を、海水で洗い、干場(かんば)に運び

1日から2日間天日で干します。 干場には、昆布に砂利等の

汚れが付かないように、石や熊笹の葉が敷き詰められています。

選葉
裁断

・選葉

裁断された昆布は、北海道水産検査協会の定める規格に応じて、

選別をされます。

・裁断

乾燥の後、根元を揃えて、指定された長さに昆布を切ります。

仕立

・仕立・結束

選葉された昆布は、昆布の種類、生産状況により、指定された荷姿に

仕立てられ、結束されます。 例えば日高昆布は105センチに裁断され、

20Kgに結束されます。真昆布や羅臼昆布は 一定の長さに

折り込まれて仕立てられ、結束されます。

集荷

・集荷・検査

結束された昆布は、各漁協に集められ、抜き取り検査が行われ

規格がチェックされます。

格付け
出荷

・出荷

入札や値決めの後、昆布は全国に出荷されます。

・格付け

昆布は、生育した浜(浜格差)と等級により格付けされ、

価格が決まります。

浜格差

・浜格差

昆布(こんぶ)は生育する浜によって明確の品質に差がでてきます。昆布(こんぶ)の成長に良い環境が 整っている浜の方が、昆布(こんぶ)の発育状況が良いからです。例えば、日高地区では 各浜は特上浜、上浜、中浜、並浜の4ランクに分けられいます。当然、特上浜の価格が 一番高くなります。このような浜格差は、長い経験から決められています。

等級

・等級

昆布(こんぶ)は、北海道水産物検査協会の検査により、概ね1等から5等まで格付けされています。 検査の項目は葉の選別、荒葉、傷葉、枯葉の混入等があります。等級が高い昆布(こんぶ)ほど生育状態が良く幅や厚みがあり、うまみ成分が多いとされています。

昆布の種類

昆布(こんぶ)の種類と特長

一口に昆布と言っても生育している場所により、様々な種類があります。 代表的な昆布とその特長について紹介します。

アンカー 2
真昆布

・真昆布(まこんぶ)

道南の函館から恵山岬、噴火湾沿岸に生育している昆布(こんぶ)です。 くせのない上品な甘みをもつ清澄なだしがとれます。噛めば噛むほど甘みが でてくる昆布です。だしをとるための昆布として、関西(特に大阪では)では よく使われている昆布(こんぶ)です。また、おぼろ昆布(こんぶ)、とろろこんぶ、塩昆布に加工もされています。

真昆布(まこんぶ)は、道南地区内でも採取される場所により、「白口浜(しろくちはま)」 「黒口浜(くろくちはま)」「本場折(ほんばおり)」「場違折(ばちがいおり)」 の4種類に区別されます。白口浜が昆布(こんぶ)の生育に最適な環境である言われています。 品質的、価格的に白口浜、黒口浜、本場折の順になります。場違折はだしには 不向きで主に加工用に使われています。

利尻昆布

・利尻昆布(りしりこんぶ)

礼文島、利尻島、稚内沿岸に生育している昆布です。真昆布と同様、くせのない 上品で清澄なだしがとれますが、真昆布より幾分塩味がかかっています。 京都では最も支持されている昆布です。京都ではだしをとる昆布としてだけでなく、 千枚漬にも利尻昆布は使われています。礼文島産の利尻昆布は最も香りが良いとされ、稚内産の利尻昆布は 若干だしに色がつくことがあるので、品質的、価格的には礼文島、利尻島、稚内 の順になります。

羅臼昆布
日高昆布

・日高昆布(ひだかこんぶ)

日高沿岸を中心に生育している昆布です。昆布の種類としては

「三石(みついし)昆布」と呼ばれています。 繊維質が柔らかく煮上がりが

早いので、昆布巻、佃煮等の煮て食べる昆布に適しています。

関東以北では「だしをとるための昆布」として 使用されていますが、真昆布、

羅臼昆布、利尻昆布と比較すると、だしの甘みが少ない昆布です。

日高昆布は生育する浜が、

特上浜、上浜、中浜、並浜にランク付けされています(浜格差と呼んでいます)。

昆布の生育状況によりこの浜格差は決まります。

ですから、

同じ一等の日高昆布でも、特上浜の一等の方が 並浜の一等よりも、昆布の幅が広く、身は厚く、旨味成分が多いということになります。

・羅臼昆布(らうすこんぶ)

知床半島、羅臼町沿岸に生育している昆布(こんぶ)です。 昆布(こんぶ)の種類として正式には「利尻系えながおにこんぶ」と呼ばれ、みなさんが 羅臼昆布を買われると商品の裏面には「えながおにこんぶ」と表示されています。 羅臼昆布は昆布の王様と呼ばれるほど、味は濃く、香りが高いだしがでますが、 だし汁が黄色みがかっています。昆布(こんぶ)の王様と呼ばれていますが、だし汁に色が つく点や味が濃すぎるという点で敬遠される方もいます。

羅臼昆布は、さらに「黒口(くろくち)」、「赤口(あかくち)」、「シマ」の3種類に区別されます。 名前の通り黒口は昆布(こんぶ)の色が黒く、赤口は赤褐色の昆布です。シマは葉の中央部分に 縞がはいっているように見える昆布です。見た目が良いので、黒口の方赤口よりも価格は高く、シマ昆布は 品質が落ちるので価格は安くなります。

長昆布

・長昆布(ながこんぶ)

釧路から根室沿岸に生育している昆布(こんぶ)です。その名のとおり、

全長が6メートルから15メートル程もある 昆布です。最も生産量が多い昆布で、昆布巻、佃煮、おでん昆布等、煮て食べる昆布として使用されています。

厚葉昆布

・厚葉昆布(あつばこんぶ)

長昆布よりも沖の深い場所に生育している昆布(こんぶ)です。長昆布同様、昆布巻、佃煮、おでん昆布等、煮て食べる昆布として使用されています。

天然と養殖

天然物と養殖物

昆布(こんぶ)の安定供給を目的に、昭和30年代から昆布の養殖は始まり、

40年代に実用化されました。 しかしながら、天然物に比べて手間や費用が

かかる養殖物の品質は、当然、天然物に比べ劣りますので 価格も低くなります。

ですから採算面から、道南の真昆布、利尻昆布、羅臼昆布といった高級昆布の

産地だけで養殖は行われています。

一口に養殖といっても2通りの方法があります。2年間かけて昆布を育てる「養殖」と1年間で成昆布まで に育ててしまう「促成」の方法があります。

養殖

・養殖(2年養殖)

養殖漁場にロープを流して、自然の力でロープに芽胞体を着生させます。

一年目葉体になった昆布を秋口に 間引きして、ロープに均等に昆布が

着生するようにします。

後は天然物と同様に、2年目葉体が成長するのを 待ち、夏に収穫します。

道南の真昆布の一部、利尻昆布、羅臼昆布はこのような方法で養殖の昆布が作られています。

促成

・促成(1年養殖)

人工受精させた芽胞体を培養液の中に入れ短期間に成長させ、晩秋に海中に入れて夏までに成長させて 収穫します。道南の真昆布にはこの方法が使われています。

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