酢
酸味を付ける。塩気をマイルドにする。アクを取る。
酢は、料理で効果を発揮するだけでなく、体にも大変よい効果を
及ぼしてくれる調味料です。
酢の原料は?
一般に「酢」と呼ばれているものは、糖質を含む食材を原料として、
それをアルコール発酵させた後、酢酸発酵させた液体調味料を指します。
糖質を含む食材は、米や麦などの穀類、リンゴやブドウといった
果実などさまざま。
さらにその種類も原料別に、穀物酢、米酢、りんご酢、黒酢など豊富です。
それぞれに味や香りも異なり、原料や製造方法の違いが特徴となって
現れています。
日本では、古くから米酢が使われてきました。
米酢は、蒸した米に麹を加えて糖化させ、アルコール発酵させたのち、
酢酸発酵も行い、2~3ケ月以上木桶の中で熟成させて作られます。
たっぷりの米を使い、手間暇をかけて仕込むことで、アミノ酸の
うまみ成分が増したまろやかでコクのある、甘みを持ったやわらかい
米酢ができるのです。
醸造酢と合成酢の違いは?
酢は、製法によって「醸造酢」と「合成酢」に分類することができます。
穀物や果実などを原料にした酒をつくり、それを酢酸発酵させたものが
「醸造酢」。
一方、科学的に合成した酢酸に水や醸造酢、化学調味料を加えて短期間で
作ったものを「合成酢」と呼びます。
醸造酢には「静置発酵法」と「連続法」2つの製法があります。
「静置発酵法」とは、仕込んだお酒を長期間じっくりと熟成させ、
自然の力で発酵させてお酢をつくる製法です。
天然醸造のため時間が掛かり、作られる量も限られていますが、お酢本来が持つ自然なまろやかさが生まれ、料理の味にしっかりと違いを
出してくれます。
一方、「連続法」とは巨大なタンクにお酒を入れて、そこに空気を送り込み
タンク内のプロペラで撹拌し、数時間~24時間で高速に発酵をさせる
製法です。
効率良く安価に大量の酢が製造できるため、現在出回っている酢の多くに「連続法」が使われています。
ただし、「静置発酵法」で作られたお酢に比べ、旨みや香り、
コクなどに弱さが出てしまいます。
酢の持つ力とは?
酢には、次のような力があります。
①消化・吸収を助ける
②食欲を増進
③殺菌、防腐効果
④素材の旨みを引き出す
⑤臭みやぬめり、アクをとる
⑥素材を柔らかくする
①消化・吸収を助ける
酢には、食べたものの消化や体内への吸収を助ける作用があります。
②食欲を増進
「酸っぱい」と感じる酢の酸味は、唾液や胃液など消化酵素の分泌を
促して食欲を増進させる効果に優れています。
夏バテなどで食欲がない時でも酸味があると食べられることがありますが、それはこのためです。
③殺菌、防腐効果
酢には食物を腐りにくくするための殺菌、防腐作用があります。
肉や魚料理にお酢を加えることで、抗菌効果が高まり、
料理をいたみにくくします。
④素材の旨みを引き出す
酢は素材のうまみを引き出し、深みのある味に整える力をもっています。
⑤臭みやぬめり、アクをとる
酢で魚などを洗うと、臭みが消え、ぬめりがとれます。
また、魚の煮付けや肉を使った煮物などに酢を加えると、
臭みを抑える効果もあります。
さらに、ごぼうやレンコンなどアクの強いものを酢を加えた水にさらすと、アクがとれ、料理で使用した際に黒くならず白さを保つことができます。
⑥素材を柔らかくする
昆布や鶏肉などを煮るとき、酢を入れるとやわらかく煮上がります。
酢を取ると身体にいいって本当?
先述した殺菌、防腐、消臭作用などに加え、近年の研究で、
酢にはさまざまな力があることがわかってきました。
疲労回復、肥満の防止・解消、高血圧予防、血液をさらさらにする、
血糖値の上昇を抑える、便秘解消、美肌効果、老化防止などに
効果があるといわれています。
お酢のデトックス効果がすごい?!〜デトックス〜
どんなデトックス効果があるの?
その1:肝機能を強力サポート!
肝臓には、有害物質を無害化して体外に排出する働きがあります。
(つまり“解毒作用”ですね!)
しかし、乱れた生活習慣(睡眠不足、偏った栄養バランス、運動不足、
ストレス等)により、現代人の肝臓は疲れぎみ…。
お酢は、そんな肝臓の働きを全力でサポートして、
弱った機能を高める効果があります。
その2:血液サラサラ効果
肉や油っこいもの中心の食生活(魚や野菜不足)や甘いものの摂り過ぎ、
お酒、タバコ、ストレスによって血液はドロドロになってしまいます。
お酢に含まれるクエン酸は、血中の老廃物を排出させる働きがあるため、
血液をサラサラにしてくれます。
(お酢の中でも、血液サラサラ効果が最も高いのは黒酢!)
その3:体をアルカリ性に
健康維持には、血液を中性〜弱アルカリ性に保つことが大切と
いわれています。
しかし、私たちの好む食品には、酸性のものが多いのも事実…。
(酸性に傾いた体は、病気のリスクを高めます)
お酢は、酸性に傾いた血液を弱アルカリ性に戻してくれる
働きがあるのです。
摂り方のポイントって?
-
空腹時はご注意を!
空腹時にお酢を摂ると、胃壁が荒れてしまう恐れがあるので
注意しましょう。
お酢を摂るタイミングは、食事「中」または食事「後」がおすすめです。
-
飲んだ後は、口をすすぐ
酸が歯に付着した状態のままでいると、歯のエナメル質が溶けてしまう
可能性があります。
濃度の高いお酢や過剰摂取には気をつけ、飲んだ後は口をすすぐ
習慣をつけましょう。
-
過剰摂取はNG
お酢のパワーが凄い!と言っても、大量に飲めば良い
というものではありません。
過剰摂取は、胃が荒れたり下痢を引き起こす可能性があります。
1日の目安は約15ml〜30mlといわれています。
胃の弱っている時には、空腹時は避け、よく薄めて飲むようにしましょう。
冷え性の人は、温めて飲む
お酢は血行促進効果がある一方で、陰性が強く体を冷やす作用もあります。
そのため、冷え性の方は飲み過ぎにご注意を!
お湯で薄めるなどして、ホットで飲むと良いでしょう。