Moshimoshi英会話
- Japan.De.Aru.
- 2019年2月15日
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canary in a coal mine
canaryは「カナリア」で、coal mineは「炭坑」。canary in a coal mineは、炭坑でカナリアを飼い、有毒ガスを検知した習慣から生まれた慣用表現で、「警告」や「予兆」の意味に使われる。カタカナ読みは「カネァリー・イナ・コウル・マイン」。 元連邦準備制度理事会(FRB)議長のグリーンスパン氏は2010年3月26日、ブルームバーグのインタビューで、“The recent rise in Treasury yields represents a ‘canary in the mine’ that may signal further gains in interest rates.”(米国債の利回りの最近の上昇は、たぶん金利のさらなる上昇を示す〝予兆〟である)と述べた。ここではa coal mineの代わりにthe mineが使われているが、意味は同じである。 炭坑の有毒ガスの検知には様々な動物が使われたが、とくにカナリアはメタンや一酸化炭素に敏感なことから、20世紀を通して使われてきた。つまり、坑内にカナリアを籠に入れて持ち込み、さえずりが聞こえるあいだは、換気が十分なので安全。カナリアの異変が脱出の合図になった。 さて、米国債(10年物)の利回り上昇の背景には、1兆4000億㌦に達する連邦政府の財政赤字があるという。グリーンスパン氏は“I’ m very much concerned about the fiscal situation.”(財政状況を大変懸念している)と語った。赤字の原因は、2008年秋のリーマン・ショック以来の経済危機がもたらした不況による税収の落ち込みと、巨額の景気対策や金融機関などの救済策。同氏は昨年にも、“A consumption tax is a likely response to a widening budget deficit.”(消費税が、拡大する財政赤字に対する答えになるだろう)と述べている。つまり、canary in a coal mineという表現は、問題点がはっきりと認識されて、対策への道筋が明らかな場合に使われる。 ところが、問題があることは誰の目にも明らかなのに、タブー視されて議論されない場合がある。そんな状況を指す慣用表現が“elephant in the room”(部屋の中の象)。roomの代わりにliving room(居間)なども使われるが、小さな部屋に大きな象が居座っている姿を想像すれば、“It’s so big you just can’t ignore it.”(非常に大きくて無視できない)というニュアンスが分かるだろう。 財政の立て直しは増税問題が絡んでくるので、選挙を前にして議論はタブー。それだけに“elephant in the room”の典型といえる。「国民の生活が優先」などという言葉だけが先行して、常に問題は先送りされる。挙句の果てに起こるのは何か? 財政規律を失った巨額の赤字は、手綱が外れた雄牛と化してセトモノ店に飛び込んで、“bull in a china shop”となる。小文字で始まるchinaは「陶磁器」で、「はた迷惑な乱暴者」の意味で使う慣用表現。店内で大暴れする雄牛の姿を想像してほしい。事の重大さが少しは分かるはずである…。
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